神戸新聞 8月14日の 記事です。
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[75分の1の 隣人]
~たじまの 在留外国人~
「進んだ 漁業の 技術を 持った 日本で、技術や 知識を 学び、インドネシアの 漁業に 役立てたい です」
7月24日、香美町役場。インドネシアから 但馬漁協の 技能実習生として 来日した バユベンドラワンさん(21)が、表敬訪問の あいさつ文を 日本語で 読み上げた。
「つらくても 辛抱して、やり遂げられる ということを 信じて、みなさんの 期待に 応えたい」
香住と 柴山では 今年、バユさんら インドネシア人 実習生3人を 受け入れ、9月から 沖合 底引き網 漁船に 乗る予定だ。
香美町内の 漁師は 1993年に568人いたが、25年後の 2018年は 247人まで 減った。
但馬漁協の 香住、柴山両支所は 15年以降、インドネシア人 実習生 71人を 受け入れ、現在は 17人が 沖合 底引き網 漁船 8隻と カニカゴ船 1隻に 乗船する。大半が 20代だ。
香住の「竜宝丸」(40トン)に 乗るアディアンドリヤンさん(22)は 来日4年目。ジャワ島 中部で 漁師の 一家に 生まれ、水産高校の 卒業後は 7カ月、地元の 底引き網 漁船で 働いた。
インドネシアの 船は ロープを 巻き上げる ウインチも なく、人力で 水揚げする。一度 漁に 出ると 帰るのは 約2カ月後だったという。技能実習生として 先に 香住の「栄進丸」に 乗っていた 叔父から「日本の方が稼げる」と 勧められ、2020年11月に 来日した。
ズワイガニ シーズン まっただ中の 翌年 初頭から 同じ 栄進丸に 乗船。睡眠不足や 船酔いに 苦しむ 実習生も 少なくないが、漁師経験が ある アディさんは へっちゃら だったという。栄進丸は 23年5月で 廃業し、今の 竜宝丸に 移った。
「実習生は まじめで ええ子が 多い。日常生活も できるだけ サポートして あげたい」と 竜宝丸の 船主・黒田淳さん(67)。アディさんら 香住の 実習生 13人は、漁協の 建物を 寮として 共同生活を 送る。掃除や 買い出しは 当番制で、船主が 車で 豊岡の スーパーまで 連れて 行く。
浜坂や 津居山など 近隣の 港で 働く インドネシア人 実習生とも 交流サイト(SNS)で 連絡を 取り合い、一緒に サッカーや 釣りを 楽しむという。
休漁期の 夏場は 地域行事や 日本語教室にも 参加。実習生に 日本語を 教える「香美町 にほんご 広場『マルカル』」の 本多秋香さん(46)は「地域の 働き手が 減る中で 外国から 来た 若者が 漁業や 介護などの 厳しい仕事を 支えている。ただ、その姿が 日本人から 見えにくい」と指摘。「彼らと 触れ合う 機会を つくり、地域の 将来について 考えることも 大切なのでは」と 話す。
水産加工業でも、実習生せいを 迎える 企業が 増えている。
昨年 4月から 受け入れを 始めた マルヨ食品(香美町 香住区 香住)では、タイ人 女性 5人が 魚を さばいたり、千物を 作ったりする 仕事に 従事。会社が 用意した 一戸建てで 共同生活を 送る。
昨年 4月から 受け入れを 始めた マルヨ食品(香美町 香住区 香住)では、タイ人 女性 5人が 魚を さばいたり、千物を 作ったりする 仕事に 従事。会社が 用意した 一戸建てで 共同生活を 送る。
セーウスワン・ガンヤーナットさん(27)は、兄や 妹も茨城県や 滋賀県で 技能実習生として 働く。料理が 得意で、毎朝 5時 起きで ほかの 実習生の 分まで 弁当を 手づくり。「香住は 海が きれいで みんな親切」といい、給料は 母親に 仕送り している という。
(長谷部崇)